【作品情報】
木船田ヒロマル「ヒゾウの子ら」
「あなたには、そちら側にいてほしいの」
宗教上の理由で先輩への告白を遮られ、終わってしまった僕の初恋。五年の後、元部活の仲間の結婚式に参加した僕は、その先輩と再会するが──。
【感想】
情景描写のなんと見事なことでしょうね。
踏切なんて二人を遮る道具として百万回は使われていると思うんですけど、あまりに描写が見事なので魅せられてしまって、陳腐さの欠片もなく「そうあらねば」と思わせられてしまいます。
二次会の後で駅に降りた時の描写も素晴らしいですし。
そして同話終盤の展開。そうなるのは分かっているんです。もう一回それが繰り返された時点でそうするのは分かっている。でもとても胸熱であり、やはり「そう来なくては」でもあります。
心理描写もミニマムなのに冴えていて素敵でした。
……なんで描写の話ばかりするかってストーリーのネタバレをしたくないからですよ。本編を読んでください。
あの日越えなかった遮断棒、その先を行く人の物語。
木船田ヒロマル「ヒゾウの子ら」
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