【感想】姫乃只紫「ERAZER ──薄氷の花傘──〈前編〉」

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【作品情報】

姫乃只紫「ERAZER ──薄氷の花傘──〈前編〉

「”欠損”を抱えた六人の少女。おひめさまになれるのは唯独り。」

鬼を憑けた障碍児である『鬼児』を殺し合わせて最後に生き残った者を『鬼姫』とする──それが天沼之宴だ。

第一章『氷柱少女』のあらすじ

三年前、「眩しさ」から解放された少女、大野木ココの眼にはもうひとつの世界が映るようになっていた。紅い金属質なコケに覆われた世界、そこに蔓延る数多の〈彼ら〉。大切な人の命を奪っていった〈狸〉と、ココにしか認識することのできない〈家鳴〉──。関連性の見えない二つの怪異。そこに隠された真実とは? 大野木六人義姉妹を中心に語られるホラー活劇。

第二章『踏鞴事変』のあらすじ

蹈鞴事変の解決を依頼したい。──探偵ジョシュア・ファイブセンスのもとに舞い込んできたのは、かつての友人からのあまりにお門違いな依頼。結果ジョシュアは”ご友人たち”の助力を得ることになるが──。想念によって形を変えるヒヒイロゴケ、呪法を描いた屏風、妖怪の進化形とされるギノー。果たしてそれらと大野木家の関わりとは? 既来界という異世界を舞台に、探偵のジュシュア。楼主の一巫女。その側近の庵。そして抹消者のアカシャを中心に語られるホラー活劇。

短編集『仁和歌者』について

仁和歌とは、江戸時代から明治時代にかけて、宴席や路上などで行われた即興の演劇・寸劇のことです。路上で唐突に始まり、衆目を集めたために「にわかに始まる」という意味で、そう名付けられたとされています。また、仁和歌を演じる役者のことを仁和歌者といいます。珠玉と呼ぶにはほど遠く、されど射干玉ほどには光かがやくERAZERシリーズ短編集。あなたを楽しませる「仁和歌」と成ればこれ幸いです。

読解難易度:HARD
作者が初めてweb投稿したと云う意味で(至るところがふわふわとしているが)、何かと思い入れのある作品。私の中で京極夏彦先生の『百鬼夜行シリーズ』や吉屋信子先生の『花物語』を始めとする所謂少女小説が最高にホットだった時期の作品でもあり、随所にその影響が散見していたりいなかったり。



【感想】

上品で残酷。すみません、何度も繰り返して。でも一言でいうならやっぱりそれかなと思って。

最初読みづらくて戸惑ったんです。「あれ、姫乃さん……?」。でも終盤になってからそれもこの作品の良さだと思いました。姫乃さんの作品って美しいんです。極彩色ではなく静けさのある美しさ。それを私は上品と言っているんですけど。そこに絶句するような残酷さが入ってくる。この作品はその要素があまりに凝縮されていたから最初読みづらかったんだろうと思いました。

だから、例えば「僕と千影と時々オバケ」に比べればアンバランスと言うこともできるのかもしれませんが、だとすれば私はそのアンバランスさが好きです。姫乃只紫の作家性(を私が把握しているとすればだけど)があまりに強く出ているこの一作、ファンなら必読ではないでしょうか。

これまで長い間この作品を読んでこなかったのは、私が女の子の関係性に興味が無かったから。でも読んで、ああ女の子っていいなと思ってしまいました。日常的な彼女達もとても好きですし、あれな彼女達も好き。推しは鏡花さんかな。彼女の設定は色々グッときます。

ということでこの作品色んな人に読んでもらいたいなと思うんです。突き抜けた一作ですよ。

姫乃只紫「ERAZER ──薄氷の花傘──〈前編〉

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