【感想】あきかん「ふと、手を見る。」

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【作品情報】

あきかん「ふと、手を見る。

「刺すような陽射しの中、僕は1人で座っている。」

【感想】

なぜその人生を愛しいと思ってしまったのか。

あきかんさんの小説が(読んだ限り)大体愛しく、本作もその類に漏れずこれは作家性なのであると、そういう回答も準備したし、それはそれなりに当たっていると思うのですけど、もう一個別の話を。

一目瞭然なんですけど、一話目が「今日の僕は」で二話目が「一月前の僕は」なんですよね。時系列逆なんですけど、これがめちゃくちゃ効いてます。逆だったら凡作です。”回顧”だと捉えようと思えば捉えられるそれが、双極の一端から一端への移り変わりが、ああそういうもんだよな、と。

驚くべきは、この双極的な人生がコミカルでもないし切なくもないという所で。全然そっちに振れておかしくないのに、そうじゃない。品のある、抑制のできる書き手だなと思いました。

一話目も二話目も美しく、これ褒めてますけど「なんかその人生楽しそうじゃん」って感じ。本人大変なんでしょうけど”僕”のその激しい情動がちょっと羨ましいよと言ったら罰があたるでしょうか。

私は自分の双極的人生を愛しいとは思わないし、他の患者のそれを愛しいとは思わないし、各所が発する双極性障害の説明やモデルを愛しいとも思いませんが、この、幾分は知識から構成されたであろう”僕”の人生は愛しいと思ってしまいました。小説ってのは(あきかんさんはと言うべきかもしれないけど)すごいですね。

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