漢文が入った封筒を見て、漢文への愛しさのあまり泣きそうになったことがあります。そんな人が全力で書く記事です。怖くないですよ。
この記事では沢山本を紹介します。一応Amazonのリンクを貼っておきますが、それをことごとくAmazonで手に入れるより安いかもしれない方法がありますよという話は下の記事で軽く紹介しているのでご参照ください。
漢文を勉強するには自分でくたくたになりながら漢文を解釈して、読める人にフィードバックしてもらうのが一番……ではあるのですが、そういう環境にない方もいらっしゃると思うので一人で漢文を読む時のガイドを書こうと思います。
まず辞書を手に入れよう
まず辞書(漢和辞典)を手に入れてください。辞書が無いと何も始まりません。昔えらい先生が学生に「どうやったら漢文が読めるようになりますか」と聞かれて答えたことには、「諸君が辞書でドイツ語などを引くのと同様に引くならば」。つまり、日本人には漢文に対して大体勘で行けるでしょうというようなある種の甘えがあるのです。しかし、その甘えを持ったままでは漢文を読めるようにはならない。自分にとって全く新規な外国語で辞書を引くのと同様に引きまくるのが肝要という話です。
ということで辞書を手に入れましょうという話なのですが、悩むのは紙にするか電子にするか。結論から言えばそれはあなたが進む道によります。
「特に漢文を専門にする気無いんだよね」「趣味で軽く読めれば」という方は紙と電子のどちらでもよいと思います。お好きな方をお使いください。
一方で、「漢文を専門にします」「ガチ勢です」という方は紙です。
よく使われている漢和辞典はこの辺りでしょうか。
『角川新字源』

『全訳漢辞海』

ところで何故紙か。それは自分の手許にある辞書のその先を見据えなければならないからです。ゴリゴリ漢文を読んでいると手許の辞書には載っていないことばが出て来ることがあります。そういう時にどうするかと言えば、もっと大きい辞書を見るのです。そういった辞書は往々にして紙でしか出版されていません。だから初心者のうちから紙で辞書を引く訓練が必要なのです。
もっと大きい辞書というのは、日本語であれば
『諸橋大漢和』

こちらはデジタル版も出ているそうです。
『諸橋大漢和』は用例が充実しているのが特徴です。ただし所々解釈に誤りがあるので、これだけ調べてそれで済ませるということはできないと言われています。
では何を見ればいいのか。やはり『漢語大詞典』でしょうか。
恐らく紙辞書の中ではトップでしょう。紙辞書でことばを探すとなれば、最終的にはこれに頼ります。ただし全て中国語です。
漢語大詞典を引いてそれでも意味が分からない場合はどうしたらいいのか。帰納します。過去の用例を集めて、そこから帰納しそのことばの意味を推定します。その時によく使うのが中国基本古籍庫です。
東大の図書館のホームページが紹介しているのでリンクを貼っておきます。
ただし、利用には契約が必要です。基本的に大学などで利用することになると思います。
さて……ここまでが中級者までに向けた話です。上記に挙げたものを十分使いこなせる基礎体力のようなものは大変重要で訓練が必要です。ではそれを踏まえた上でプラスα何があるかと言えば、ググるのも大事よということです。
「漢典」も便利です。詳しくはこちらをご覧ください。
ところで、漢文はどの時代、どのような文書形式かによって全然文の様子が変わります。だから少し時代に合わせた工具書の話もしておこうかと思います。
『中国語歴史文法』
現在入手困難なようですが、各時代のことばの意味の変遷を扱った工具書です。手元に置いておきたい一冊。
また、档案(行政文書)の類を読みたい方には『中国歴史公文書読解辞典』が必要になってくるかと思います。

もっと新しい時代の現代中国語に近い漢文を読みたい人には、いっそ『中日大辭典』が役立つかもしれません。

漢文を勉強していく時の入門書
柔らかいところからいけば、講談社学術文庫から出ている『漢文法基礎 本当にわかる漢文入門』でしょうか。

大変読みやすいと思います。漢文のニュアンスを掴みやすくなります。
少し前の世代であれば、『漢文入門』が漢文入門書の王道でした。

入門と言いつつ今の私達にとっては少し固いかもしれません。しかし、精選された古典に触れながら漢文を学べる良書です。
もう一つ、『漢文を讀む人のために』は個人的に目から鱗でした。

編纂過程の問題で重複が多いのが難点ではありますが。
もっとも、勉強の基本は辞書を引いて引いて引いて引きまくって漢文を読んで読んで読んで読みまくることです。読みましょう。疲れます……でも楽しいですよ。
好評だったら続きを書こうと思いますが、どうせ読まれないんだろうなあ……(恨めしげ)。ではでは。
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