【講評】丸子稔「全日本ツッコミコンテスト」

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【作品情報】

丸子稔「全日本ツッコミコンテスト

「男子高校生の熱い友情を描いた、笑いあり涙ありの青春物語。」

 高校三年生の中道高至は、相方の小平竜也とともに、お笑い芸人を目指して日々ネタ作りに精を出していた。
 そんな時、二人は、大手事務所が全日本ツッコミコンテストというお笑いのオーディションを開催するという情報をつかむが、そのオーディションにはある規定が……



【講評】

こんにちは、辰井圭斗です。昨年は「辰井講評窓口」にご参加くださりありがとうございました。すっかり遅くなってしまい申し訳ありません。こちらに講評を書きます。

説明の思い切りがよい短編だなと思いました。
冒頭、”俺の名前は中道高至。お笑い芸人を目指している18歳の高校三年生だ”で、いい意味で衝撃を受けました。「俺の名前は○○、~~だ」という冒頭は、あまりにも繰り返されてきた便利過ぎる話法であり、使うのを躊躇してしまうところもあるのですが、それを臆面なく使い、その後も説明に次ぐ説明。しかし、そのことによって「安易なことをして」という印象はまるで受けず、理にかなっていると感じました。
短編小説賞に出している作品で内容盛りだくさんの上、現状の文字数も9,999文字ということから、「少ない字数でいかにストーリーを伝えるか」というところに苦心されたのではないかなと推察します。もしかしたら、説明に次ぐ説明はそのあたりをクリアするためのものでもあるのかもしれませんが、「ツッコミしか先に進めない、勝利=相方との別れ」という残酷な図式を限りなく分かりやすく伝えており、先を読ませる力があるのもお見事でした。

そもそも「1万字以内で書く」ということを念頭にしてこの作品を書かれたと思うので、ここから書くことはナンセンスかもしれないのですが、ストーリーから見れば2万字欲しい作品ではあります。
前述のように第1話の説明はあれでよいと思うのですが、第3話で語られる過去や竜也の動機までもがかなり説明じみているのは惜しいと感じるポイントです。もし第3話をあの書き方で書くのであれば、第1話で第3話で語られるストーリーを部分的に先行させて伏線の機能を持たせた方が、より読者の感情を揺さぶれるのではないかと思いました。
第2話も、もう少しオーディション自体の面白さが欲しいと感じました。”ボケ役が次々と繰り出すボケにまったく付いていけず、終始ボケ役一人による漫談みたいになっていた”など、他の参加者達の様子がダイジェストして描写されますが、ここは実際に付いて行けていない、より具体的な描写が必要だったのではないかなと思います。物語の中のオーディションで面白い要素の一つは、意地悪な話、勝つ側と負ける側の”差”なので、その”差”をもっと見たかったです。

9,999字にこれだけのストーリーを詰め込んでいるという点で、非常に腕力を感じる作品でした。読ませてくださりありがとうございました。



【作者様からの返信】

コメントありがとうございます。

丸子稔「全日本ツッコミコンテスト

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