【講評】ちありや「「ユリって雑草だよね」」

web小説講評

【作品情報】

ちありや「「ユリって雑草だよね」

「花と同じ名前を持つ彼女は、ポツリと俺に呟いた。」

誰の手も借りる事無く気高く咲く花がある。
彼女はその花の様になりたかった……。

※追加執筆分はおまけなので、本文とは別物と考えて下さい。



【講評】

おはようございます、辰井です。昨年は自主企画「辰井講評窓口2」にご参加くださりありがとうございました。すっかり遅くなってしまい申し訳ありません。こちらに講評を書きます。追加執筆分も後で読みますが、本文だけ読んだ段階で書きます。

ユリとアキトの友達以上恋人未満、”動物に懐かれている”ような微妙な関係性が本作の背骨になっています。私自身そういう関係性を持った経験は無いのですが、すごくよく分かるなと思いながら読みました。そしてそこから流れていくアキトの感情も共感できます。ユリにしろアキトにしろ、そういった関係性の相手に対する感情が、邪念をはらみかねないものであっても汚さや淀みのないもので、爽やかな青春ものとして読めました。

爽やかと言えば、アキトが自転車で走りながら悶々とユリとの感情を考えるシーン。概ね主人公がひたすら思考するシーンは動きが無く風通しが悪くなりがちなのですが、このシーンは二人で自転車で走っているので(しかもスピードを出して)、爽やかにまとまっていました。
「アキト〜っ、ちょっと速いよー!」というのもいいです。このセリフで、アキトとユリがどういう距離感なのか更に伝わってきます。残酷なことに伏線でもありますが。
アキトの考えがユリにお見通しなのもいいですね。ユリ側の感情に深みが出ています。

こういう青春恋愛(未満)もので、片方を死なせて死んだ後に思いが分かるかたちにするのは、ともすれば甘いお涙頂戴ものになってしまいます。しかし、本作の場合、”あれから一週間”以後の一かたまりがあることによって、抑制が効いています。そしてアキトは立ち直りきってはいないものの、アスファルトの隙間から生える百合を見て、読者はそれでアキトが前に進めるだろうことが分かるかたちになっており、抑制しながらも書くべきことを書いていると思いました。

今回もよかったです。「トラック運転手ですが世界平和の為に殺し屋に転生してみましたよ」とはまたガラッと作風が変わった感じですが、素敵でした。読ませてくださりありがとうございました。



【作者様からの返信】

コメントありがとうございます。

トラック〜」に続いてとても素敵な講評、過分にお褒め頂き恐縮です。
御堪能いただけたならそれに優る喜びはありません。

ただ一言、追加執筆分につきましては「怒っちゃイヤよ」とだけ申し上げておきますw

ちありや「「ユリって雑草だよね」

コメント

タイトルとURLをコピーしました